気づけば自分も、あの日のマダムのように

エッセイ

昨日学校が始まったばかりなのに、今日さっそく学校が休みだった11才の息子。

一緒に娘を学校まで送ったあと、そのまま朝マルシェへ出発!

我が家は、毎日パンを買いに行きます。

日本では、家で米を炊くだけで主食があったから楽だったな〜

店で並んでいる間、どのパンを買うか息子と決め、いざ注文しようとしたら

「カンパーニュをひとつ、よく焼けているやつで。あとクロワッサン二つと…」

と、息子が横から慣れたかんじで注文(もちろんフランス語)

これは…私がフランス語をまったく話せないと思われているかもしれない…!!

妙な闘争心に火がつくフランス生活経験者🔥

クロワッサンを食べながら街を散策していると、さびれた映画館が。

いえ、さびれておりません。

これがフランスの、都会の映画館です。

田舎の方ではもっと大きくて、日本人がイメージする映画館に近いものがあったりしますが、ここではパン屋、肉屋、映画館、みたいに並んでます。

最近街中でポスターをよく見かける、ジャッキー・チェン出演『Karate Kid』が気になる…

キヨスク?のような店ではポケモンカード(フランス版)も売ってます!

夏の帰省時、祖父母に買ってもらったことのある息子曰く「日本より値段は高いけど、レアカードが出る確率も高い」そうです。

そんなこんなでマルシェへ到着。

今日も見ているだけで楽しい、色とりどりの食材たち。

息子へ、自分のフランス語力をアピールするかのよう、店の人へ無駄に話しかける母と、

そんなのおかまいなしで、注文時には必ず率先して前へ出ていく息子。

謎の張り合いを続けながら、野菜と果物を調達。

そして最後にサーモンを買った魚屋のムッシューが、支払いを終えたあと、私ではなく息子へ気さくに世間話を始めました。

これはムッシューなりの敬意だな、よかったね!と息子の顔を見たら、少しも笑いもせず、半分ぼーっとしている様子。

緊張している時の顔だと思った時に、ようやく気づきました。

彼は、私が話せる話せないは置いて、ただ助けようとしてくれていたのかもしれない。

毎回、ドキドキしながら一歩前に出てくれていたんだなぁと思った途端…

ごめんねとありがとうが大爆発!

帰り道、重い荷物(キロ単位で買うため)を半分ずつ持って歩いていたら、「僕が持つ」と無理やり買い物袋を奪って持ってくれる息子。

大きくなったなぁと、少し泣きそうなのを隠すため無駄に笑ってばかりいる自分は、ほんと無駄が多いですね。

息子の成長と反比例している気がして、我に返ると落ち込みそう…

だけど、自分が反面教師な分、子供がしっかり成長してくれるならいいか!と

結局、今日も開き直って生きていくのでした。

以前フランスに住んでいた頃、彼はまだよちよちしていて、人が多くガヤガヤしたマルシェへ連れて行く時は目が離せず、どっと疲れて帰ってきたものです。

そんなある日の帰り道、元気のない初老のマダムと、彼女の手を取りながらゆっくり歩く青年の姿を見た私は、余裕のなさから否定的な印象を抱いた記憶があります。

きっと私は、自分が助けてほしかった。

今は、あの二人の様子を、それまで双方がどう生きたかを象徴するものだろうと思い出します。

一度否定したことも棚に上げて、幸せな人生だと、素直に思えるようになりました。

そうして物事の印象をアップデートしていく度に、何かが腑に落ちる。

すうっと音がしそうなくらい。

自分を情けなく思うよりも、凛と誇りを持って

あっという間に過去になる今の連続を、大切に生きていたいと改める朝です。

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